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注目の新薬

*売上は薬価ベース、*参考:日刊薬業・薬事ハンドブック

2017年4月24日更新

2017年注目の新薬

2017年の注目は抗体医薬(バイオ製剤)であろう。 今年度大幅売上増が確定的な『抗がん剤領域』その中の『分子標的薬』『免疫チェックポイント阻害剤』」と、高コレステロール血症、骨粗鬆症、アトピー性皮膚炎、多発性骨髄腫で市場参入した新規抗体医薬製剤の動向である。

【抗癌薬】

2015年度の抗腫瘍薬全体の売上高は1兆830億円(薬価ベース)で前年度比12.0%増となった。中でも抗体製剤は2.990億円21.9%と大きく伸長した。抗体製剤の中でもアバスチン(中外、大腸癌治療薬)は特例拡大再算定を受けたにも変わらず、990億円と前年比で13%(115億円アップ)となり、2017年度も売上をどこまで伸ばすか期待したいところだ。
 次の期待の新薬は何と言っても、過去にない50%の特例拡大再算定を受けた免疫チェックポイント阻害剤の抗PD-L1抗体 オプジーボ(小野薬品)の動向である。オプジーボは進行性悪性黒色腫での売上プラス、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「腎細胞癌、ホジキンリンパ腫」に適応拡大したことにより、特例再算定で薬価が50%ダウンから適応拡大でどこまで売り上げを伸ばすかに期待したい。また、オプジーボの薬価再算定時に、抗PD-L1抗体 キイトルーダ(MSD)も2017年2月に同じ薬価で承認されたが、こちらはオプジーボの適応の無い非小細胞肺癌(NSCLC)の1次治療に適応を持ち、患者数の多さからからは売上期待感が高い、多くの癌腫に対してオプジーボ同様、適応拡大の開発を進めている。
 また、抗PD-L1抗体として2017年2月にアテゾリズマブ(ロシュ/中外)がNSCLCに承認申請をされ、その後を追い、アベルマブ(独メルク/ファイザー)、デュルパルマブ(アストラゼネカ)が申請される予定である。これら抗PD-L1抗体はオプジーボと同様に多くの癌に対しても開発が進められており、癌治療における免疫チェックポイント阻害剤の市場拡大は注目されるところである。

【脂質代謝異常治療薬】

 脂質代謝異常治療薬市場は患者が増加しているにも関わらず、スタチン製剤の特許切れにより2015年は薬価ベースで3.290億円と16.9%となり、後発品切り替えによる市場の縮小が続いているが、この市場に初の抗体医薬として1月に レパーサ(アステラス/アムジェン)、7月に プラルエント(サノフィ)が承認を受けた。両剤ともPCSK9抗体といわれる生物製剤で、但し高額なため、家族性抗コレステロール血症(FH)、抗コレステロール血症で使用する場合は心血管イベントの発現が高く、スタンチン製剤で効果不十分な場合に限ると レセプト上の制約がつけられたが、この2剤の抗体医薬(レパーサ、プラルエント)がどこまで市場に浸透するか注目したい。

【骨粗鬆症治療薬】

 骨粗鬆症治療薬市場は服薬利便性を高めたビスホスホネート製剤、副甲状腺ホルモン製剤、ビタミンD3製剤の新薬の発売により2015年は薬価ベースで1.810億円と5.2%増となった。骨粗鬆症治療薬では初となる抗体医薬のモノクロ-ナル製剤のプラリア皮下注(第一三共)は6か月に一度の投与で利便性もよく、2015年度は140億円(前年比68.1%増)と大きく伸長した。この薬剤は骨吸収のメカニズムや骨代謝調整において非常に重要な役割を果たすRANK-RANKL系のRANKLに特異的に結合し骨吸収を抑制するメカニズムを持つ。また昨年の12月に抗スクレロチン抗体の ロモソズマブ(アステラス・アムジェン)が申請された、骨粗鬆症でのこの抗体医薬2剤の今後の伸長も期待したい。

【多発性骨髄腫】

 多発性骨髄腫では昨年7月に新規プロチアソーム阻害剤 カイプロリス(小野薬品)、9月には初の抗体医薬である抗SLAM7抗体 エムプリシティ(BMS)、7月には初の経口プロチアソーム阻害剤 イキサゾミブ(武田薬品)、12月には強力な効果が期待できる抗CD38抗体 ダラツムマブ(ヤンセン)が申請され、多発性骨髄腫の治療薬はこれら4つの抗体医薬の市場シェアにも注目したい。

【アトピー性皮膚炎】

 初の抗体医薬として 抗IL-4α抗体 デュピルマブ(サノフィ)が2月に申請された。臨床的効果は期待されるが高薬価であることが予想されるため、費用対効果でのレセプトの縛りによりどこまで市場に浸透するかも注目したい。