高齢者の犬飼育で認知症リスク48%低下 医療・介護費を4年で約5,920億円削減
【研究成果】犬を飼育する高齢者は認知症リスクが48%低下 医療・介護費も4年で約5,920億円の削減効果
国立環境研究所(谷口優主任研究員)、東京都健康長寿医療センター、東京大学らの共同研究チームは、地域在住の高齢者約11,200名を対象とした7.5年間の大規模疫学研究結果を公表しました。
現在犬を飼育している高齢者は、飼育経験がない人に比べて要介護認知症の発症リスクが48%低いことが明らかになったほか、犬と暮らす高齢者が増えることで4年間で約5,920億円の公的医療・介護費が削減できるとの予算影響分析結果が示されました。
学術誌『International Journal of Environmental Research and Public Health』(2026年7月22日付)に掲載された研究成果のポイントを整理します。
国立環境研究所(谷口優主任研究員)、東京都健康長寿医療センター、東京大学らの共同研究チームは、地域在住の高齢者約11,200名を対象とした7.5年間の大規模疫学研究結果を公表しました。
現在犬を飼育している高齢者は、飼育経験がない人に比べて要介護認知症の発症リスクが48%低いことが明らかになったほか、犬と暮らす高齢者が増えることで4年間で約5,920億円の公的医療・介護費が削減できるとの予算影響分析結果が示されました。
学術誌『International Journal of Environmental Research and Public Health』(2026年7月22日付)に掲載された研究成果のポイントを整理します。
1. 主な研究成果のポイント
要介護認知症の発症リスクが48%低下
約11,200名の高齢者を「現在飼育」「過去に飼育」「飼育経験なし」に分類し、操作変数解析を用いた7.5年間の追跡調査を実施。現在犬を飼育している層は、飼育したことがない層と比較して要介護認知症の発症率が48%低いという強い因果関係・抑制効果が確認されました。
認知症予防をもたらす主な要因(メカニズム)
- 毎日の散歩に伴う身体活動・運動習慣の維持
- 散歩仲間や地域住民との社会的交流・コミュニティ参加の保全
- 愛情や癒やしを通じた精神的健康(メンタルヘルス)の維持
公的医療・介護費の削減効果(4年間で約5,920億円削減)
高齢者の犬飼育率が高まるシナリオでの予算影響分析を実施した結果、フード代や飼育費用等として社会全体で約4.63兆円の経済支出が生まれる一方、要介護化・認知症発症の抑制により、公的な医療費・介護費の支払いを4年間で約5,920億円削減できるとの試算が導き出されました。
2. 制度・施策における背景と意義
「認知症基本法」下での予防・共生アプローチ
2024年1月に施行された「認知症基本法」に基づき、予防および地域での共生施策が推進されています。本研究は、薬物療法以外の日常生活行動(アニマルアシステッド・アクティビティ/ペット飼育)が公衆衛生および医療経済へ与える定量的影響を提示した画期的な成果です。
高齢者のペット飼育支援の重要性
一方で、高齢者単身世帯の増加に伴う「飼育困難(老老介護・ペットの置き去り)」リスクの管理も課題となります。自治体や地域包括支援センターにおいて、ボランティアや一時預かり制度など「高齢者が安心してペットと暮らせる環境づくり」を支援することが、結果的に地域全体の健康寿命延伸と社会保障費抑制につながると期待されます。
